キャリア2026-07-14監修:山根一城(株式会社ポテンシャライト)

介護職の職種は3系統に分かれる — 現場・相談・管理のキャリア地図

この記事の要点

「介護の仕事って、結局ずっと同じことの繰り返しなんでしょ?」——先日、北関東のある施設で若い職員さんからこう言われて、僕はちょっと考え込んでしまいました。

その気持ち、わからなくはありません。求人サイトを開くと「介護職員募集」の文字ばかりが並んでいて、まるでゴールが一つしかないように見えてしまう。でも実際の介護の世界は、想像よりずっと横にも縦にも広がっています。今日はその「広さ」を、皆さんと一緒に一枚の地図にしていきたいと思います。

結論から言えば、介護の職種は大きく現場ケア系・相談支援系・管理運営系の3系統に分けられる、というのが僕の整理です。まずこの3つを頭の中に置くだけで、自分がいまどこにいて、次にどこへ進めるのかがずいぶん見えやすくなると考えています。

0. なぜ「職種の地図」を持つと楽になるのか

キャリアの相談を受けていて感じるのは、多くの方が「介護=現場でずっとケアをする仕事」という一枚の絵しか持っていない、ということです。絵が一枚しかないと、その仕事がきつく感じたとき「介護そのものが向いていない」と思い込みやすい。ここが僕はもったいないと感じるところです。

でも実際には、身体的な負担が中心の役割もあれば、頭と対話が中心の役割もあります。地図を持っていれば、「向いていないのは介護ではなく、いまの役割かもしれない」と切り分けられる。この切り分けができるかどうかが、長く続けられるかの分かれ目だと僕は個人的に思っています。

登山にたとえるなら、山は一つでも登山道は複数ある、という感覚に近いかもしれません。今の道が急すぎるなら、別の道に乗り換えればいい。山ごと降りる必要はないのです。せっかく積んだ現場経験を、離職という形で全部手放してしまう前に、まず地図を広げてほしい——それが今日いちばん伝えたいことです。

1. 現場ケア系 — 介護の専門性が最も濃い中心地

まず土台になるのが現場ケア系です。ここを軽く見る風潮が世間には少しありますが、僕はまったく逆だと考えています。利用者一人ひとりの体調や気持ちの微妙な変化に気づき、対応する。これは高度な観察力と判断力が要る、まぎれもない専門職です。

代表的な職種

現場ケア系は、どの系統に進むにしても経験の土台になります。相談員になってもケアマネになっても、「現場を知っている」という事実は一生効く資産だと僕は思っています。逆に、現場を飛ばして相談やプラン作成に進んだ人が、あとで「利用者の実感がわからない」と苦労する場面も見てきました。急がば回れ、という言葉が意外と当てはまる世界です。

もう一つ付け加えると、現場ケア系のなかにも深め方はいくつもあります。認知症ケアの専門性を磨く道、看取りや終末期ケアに強くなる道、リハビリ職と連携して自立支援に踏み込む道。系統を移らずとも、縦に深く掘っていくキャリアは十分に成り立ちます。「現場一筋」を選ぶこと自体が、立派な戦略なのだと僕は考えています。

2. 相談支援系 — 人とサービスをつなぐ「翻訳者」

次が相談支援系です。ここは現場から一歩引いて、利用者・家族・行政・サービス事業者のあいだをつなぐ役割。僕はよく「翻訳者」という比喩を使います。医療や制度の難しい言葉を家族にわかる言葉に変え、逆に家族の不安を支援計画に翻訳していく。そういう仕事です。

生活相談員

特養やデイサービスに配置される、施設と利用者・家族の窓口。入退所の調整や相談対応を担います。要件は社会福祉士・精神保健福祉士・社会福祉主事任用資格が基本ですが、都道府県や施設によっては介護福祉士+実務経験で認められる場合もあります。ここは自治体ごとに基準が違うので、必ず志望先で確認してください。現場からの転向ルートとして、北関東でも現実的な選択肢だと感じています。

ケアマネジャー(介護支援専門員)

ケアプランを作成し、必要なサービスを組み立てる専門職。受験には原則、介護福祉士などの国家資格に基づく実務経験5年かつ従事日数900日以上が必要です(厚生労働省)。試験合格後に実務研修を修了して登録します。現場で長く働いた経験が、そのまま受験資格につながる。これは大きな意味があると僕は考えています。

相談支援系でよくあるつまずき

ひとつ留保をつけておくと、相談支援系は「現場より楽そう」というイメージで入ると、けっこう面食らいます。書類作成や電話調整、家族との難しい話し合いなど、感情労働と事務作業の比重が高いのです。体力ではなく神経を使う仕事、と言い換えてもいいかもしれません。現場のケアが好きな方が無理に移ると、かえってしんどくなることもある。適性は正直に見極めたほうがいいと、僕は思っています。実際に、相談員になってから「利用者に直接触れる時間が減って寂しい」と現場に戻る方も一定数いらっしゃいます。それも決して失敗ではなく、自分の適性を確かめられた前進だと僕は捉えています。

3. 管理運営系 — チームと事業を支える裏方

3つ目が管理運営系。利用者に直接触れる時間は減りますが、その分「働く環境そのもの」を設計する役割です。

職種主な役割目安となる要件
サービス提供責任者訪問介護の計画・ヘルパー管理介護福祉士または実務者研修修了など
ユニットリーダー/主任現場チームのマネジメント介護福祉士+現場経験(目安値)
施設長・管理者施設全体の運営・人員配置施設形態により要件が異なる

ここで一つ留保をつけておくと、管理職=正解ではありません。マネジメントが得意な人もいれば、生涯現場のプロでいたい人もいる。どちらが上ということはないと、僕は本気で思っています。系統を「上下」ではなく「横並びの選択肢」として見てほしいのです。給料の面では管理職に手当が付く施設が多いのは事実ですが、その分、責任やクレーム対応の負荷も上がる。数字だけで選ぶと後悔しやすい領域だと感じています。

それでも、現場の負担を減らすシフトを組んだり、新人が辞めない仕組みを作ったりできるのは管理職ならではのやりがいです。「自分が受けたかった環境を、後輩のために作る」——そんな動機で管理運営系に進む方は、長続きする印象があります。

4. 3系統をケースで比べてみる

抽象的な話が続いたので、架空の3人で比べてみます。いずれも僕がよく出会うタイプを合成したもので、特定の個人ではありません。

Aさん:ずっと現場が好き

入浴介助や利用者との会話に喜びを感じるタイプ。この方は無理に系統を移らず、介護福祉士を取って現場のスペシャリストを深めるのが幸せだと思います。認知症ケアや看取りなど、専門領域を掘る道もあります。給料アップは資格手当や処遇改善加算で狙う、という設計が現実的です。

Bさん:家族対応が得意

クレームになりそうな場面をうまくおさめられる方。相談支援系との相性がよく、生活相談員からケアマネへ、という流れが自然に見えます。現場5年の実務が受験資格に直結するので、勤務記録を早めに整えておくと動きやすい。

Cさん:段取りと人の采配が好き

シフト作成や新人指導を任されると力を発揮するタイプ。ユニットリーダーから主任、管理者へと管理運営系に進む道が見えます。ただし前述のとおり、現場を離れる寂しさとのバランスは要相談です。

5. 北関東で3系統を行き来するときの現実

茨城・栃木・群馬は、都市部に比べて事業所の規模が中小のところも多く、その分「一人が複数の役割を兼ねる」場面が体感的に多いように感じます。生活相談員が送迎も手伝う、リーダーが夜勤にも入る、といった具合です。

これは負担でもありますが、見方を変えれば複数系統の経験を早く積める環境とも言えます。都市部の大規模施設だと役割がきっちり分かれていて、なかなか越境できないこともある。北関東で幅広く経験して、それを次のキャリアの説得材料にする——そういう戦略もアリだと個人的には考えています。

系統を移るときの実務手順(目安)

  1. 資格を積む(数年単位):初任者研修→実務者研修→介護福祉士と積むと、ほぼ全系統への扉が開きます。
  2. 実務日数を記録する(勤務のたびに):ケアマネ受験では従事日数900日が問われるので、勤務証明の準備は早めに。転職前の事業所にも証明を依頼しておくと安心です。
  3. 言語化を練習する(面接前の1週間):現場で何を判断してきたかを言葉にできる人は、相談支援系で強い。エピソードを3つほど棚卸ししておきましょう。
  4. 志望先の要件を確認する(応募前):とくに生活相談員は自治体で基準が違うので、求人票と役所の情報を照合します。

ここで一つ注意点を。系統を移ると、最初のうちは給料が横ばい、あるいは一時的に下がることもあります。相談員やケアマネは夜勤手当がなくなる分、現場時代より月収が減るケースもある。長期の年収では上向くことが多いものの、移った直後の数字だけを見て焦らないほうがいい、というのが僕の体感値です。

6. あなたはいま、地図のどこにいるか

ここまで読んで、「自分は現場が好きだから相談支援には行かない」と思った方も、「いつかケアマネを目指したい」と思った方も、どちらも正解だと僕は思います。大事なのは、選択肢を知ったうえで選ぶこと。知らずに一本道だと思い込むのと、地図を見て一本道を選ぶのとでは、同じ場所にいても気持ちがまるで違うからです。

そして、どの系統に進んでも土台になるのは、やはり現場で培った観察力と、目の前の人を尊重する姿勢です。制度や加算は追い風として使えばいい。でも真ん中にあるのは、いつだって人と向き合う専門性なのだと、僕は最近ますます強く感じています。

7.(結論)職種は3系統、道は一本ではない

介護の職種は、現場ケア系・相談支援系・管理運営系の3系統に整理できます。現場は専門性の中心地、相談支援は人とサービスの翻訳者、管理運営はチームを支える裏方。どれも上下ではなく横並びの選択肢で、資格と実務経験がそのあいだの扉を開いてくれる——これが今日お伝えしたかった地図です。

皆さんいかがでしたでしょうか。自分がいま地図のどこにいて、次にどの扉を開けたいのか。少しでも輪郭が見えたなら嬉しいです。介護クエスト北関東では今日もがんばりましょう。

よくある質問

Q. 介護の職種にはどんな種類がありますか

大きく分けると、利用者に直接ケアを行う「現場ケア系」、利用者と家族・サービスをつなぐ「相談支援系」、施設全体を運営する「管理運営系」の3系統があると僕は整理しています。現場では介護職員・訪問介護員、相談支援では生活相談員やケアマネジャー、管理運営ではサービス提供責任者や施設長などが代表例です。同じ介護の世界でも役割はかなり違います。

Q. 現場の介護職から生活相談員になれますか

なれる可能性は十分あると考えています。生活相談員の要件は社会福祉士・精神保健福祉士・社会福祉主事任用資格などが基本ですが、自治体や施設によっては介護福祉士+一定の実務経験で認める例もあります。要件は都道府県で異なるため、まずは志望先の求人票と自治体の基準を確認するのが確実です。現場経験は相談員として大きな武器になります。

Q. ケアマネジャーになるには何年の経験が必要ですか

介護支援専門員(ケアマネジャー)実務研修受講試験の受験には、原則として介護福祉士などの国家資格に基づく実務経験5年かつ従事日数900日以上が必要です(厚生労働省)。試験合格後に実務研修を修了して登録します。現場での経験がそのまま受験資格につながるため、長く働く方にとって現実的な到達点だと僕は思っています。

監修:山根 一城(株式会社ポテンシャライト 代表)

IT人材業界20年、ギークリー創業を経て現職。個人として通算4,200名のキャリア面談を実施してきた経験に基づき監修しています。本文中の年収・難易度等は独自ガイドの目安値であり、個人の経験・企業により変動します。

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